『今話題の「IPランドスケープ」とは』
~経営者が経営判断に使える知財情報とは~
第4次産業革命下における企業経営では、価値ある「情報」をスピーディに収集し、それを分析して市場変化や技術進展を洞察し、事業戦略の「知恵」として活用することが最も重要な企業戦略となります。特に、この企業戦略において各企業の将来の事業ビジョンや製品戦略を示唆する「知的財産情報」は、企業経営や事業戦略に積極的に活用することで、事業競争力を強化したり、経営上のリスクを低減したりすることができます。しかし、このような知財情報を駆使して経営や事業を司る「知的財産経営戦略」を実行できている企業は、現状少数に留まり、多くの企業ではこのような戦略手法の導入が経営者から強く期待されていても、実行できていないのが実情ではないでしょうか。 このような状況の中、2017年4月、特許庁より、企業における個人の知的財産に関する実務能力を明確化・体系化した指標「知財人材スキル標準(version 2.0)」が発表されました。そこでは、近年の経営環境の変化に対応して、「戦略」領域の内容が大きく改定され、新たに「IPランドスケープ」が知財人財のミッションであることが追加されました。
「IPランドスケープ」とは、欧米先進企業において、近年急速に使用され始めた新しい用語で、知財情報を活用した経営戦略・事業戦略を策定し展開するための新手法です。
2017年7月17日付の日本経済新聞朝刊でも「IPランドスケープ」は大きく取り上げられ、多くの反響を呼んでいます。今後は相当のスピードで普及していくことが予想されています。
そこで、本セミナーでは、同新聞の記事でも大きく紹介された、「IPランドスケープ」を駆使した知的財産経営戦略を実行し成果を出しているナブテスコ株式会社の事例を中心に、「IPランドスケープ」の経営・事業での活用手法やその効果について紹介します。
セミナー概要
講演内容 |
1.『IPランドスケープとこれからの企業知財部門の在り方』 杉光 一成 氏(金沢工業大学大学院教授)「IPランドスケープ」とはどのような概念なのか、IPランドスケープという言葉をはじめて用いた経済産業省が2017年4月に公表した「知財人材スキル標準ver.2」との関連も踏まえ解説するとともに、これからの企業知的財産部門の在り方を提案します。 2.『ナブテスコの知的財産経営戦略におけるIPランドスケープの実践』 菊地 修 氏(ナブテスコ株式会社 知的財産部長)企業が利益ある成長と事業競争力の向上を永続的に実現するためには、市場の動向や顧客のニーズを把握・分析し、これに基づき自社のコア価値の重要度や競争優位性を検証し、その獲得・強化を継続的に実行し続けることが事業経営の鍵となります。このために、ナブテスコが、いかに「IPランドスケープ」を活用してグローバル市場の把握と分析を行い、その成果を企業経営や事業活動に生かし知財経営戦略を展開しているかを、2017年7月17日付けの日本経済新聞で紹介されたM&A事例等を交えて解説します。 3.『ナブテスコのIPランドスケープの実践内容と事業活用の進め方』 井上 博之 氏(ナブテスコ株式会社 知的財産部 参事)IPランドスケープによる市場分析をベースにした、自社・競合・顧客・パートナーの知財情報分析(4C分析)手法と、これに企業情報を加味した顧客ニーズや市場ポジションの把握をどのように行うかを紹介します。更に、この把握結果を活用して、現在保有する事業のコア価値を強化する手法や、将来の事業を支える未来のコア価値を獲得するか手法について、現在当社での分析ツールの活用事例を用いて紹介します。最後にこれらの分析結果をいかにマネジメント層に対して、知財ミックスを含むコア価値強化・獲得の知財戦略を提案するかについても説明します。 4.主催者からのご案内 |
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対象者 |
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実施概要
※ | 下記内容は予告なく変更する場合があります。当日は最新の情報をご確認ください。 |
実施日程 | 2017年12月8日(金)13:00~17:30 開場12:30 | ||||||||||||
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会場 | 金沢工業大学 虎ノ門キャンパス 13階1301講義室 (東京都港区愛宕1-3-4 愛宕東洋ビル13階) |
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定員 | 100名 | ||||||||||||
参加費 | 無料 | ||||||||||||
プログラム |
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主催 | 一般財団法人 知的財産研究教育財団 知的財産教育協会 株式会社レイテック |
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協賛 | 金沢工業大学(K.I.T.)虎ノ門大学院 |
登壇者紹介
杉光 一成 氏![]() |
金沢工業大学大学院 イノベーションマネジメント研究科 教授 知的財産科学研究所 所長 一般財団法人 知的財産研究教育財団 知的財産教育協会 専務理事 東京大学大学院・修士(法学)、東北大学大学院・博士(工学)。電機メーカーの知的財産部等を経て、本学教授(現在に至る)。主な著書として「理系のための法学入門」等。専門は知的財産法に関する先端領域及び学際領域(マーケティング論と知財等)。 公職歴として参議院・経済産業委員会調査室・客員研究員、政府知的財産本部・知財人財育成検討プランWG委員、東京大学政策ビジョン研究センター・客員研究員(現任)等の他多数。2009年に経済産業省「知財功労賞」受賞。 2007年の「知財人材スキル標準ver.1」を作成した経済産業省の「知財人材のスキルの明確化に関する調査研究」(平成18年度)及びその改訂版である「知財人材スキル標準ver.2」を作成した特許庁の「企業の知財戦略の変化や産業構造変革等に適応した知財人材スキル標準のあり方に関する調査研究」(平成28年度)に委員長として携わる。 |
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菊地 修 氏![]() |
ナブテスコ株式会社 理事 技術本部 知的財産部長 兼 ナブテスコR&Dセンター長 AIPE認定 知的財産アナリスト(特許) 1981年、東京芝浦電気株式会社(現株式会社東芝)に入社し、社会インフラから情報システム、ソフトウェア、デジタルコンテンツ、ネットビジネス等の事業分野における知財戦略業務を担当すると共に、本社の知財法務責任者として知財訴訟や知財リスク管理を指導し、不正競争防止法や著作権法等の法改正に関与。その間、株式会社東芝 知的財産権法担当部長、東芝ソリューション株式会社 知的財産担当部長を歴任する一方で、EC事業戦略推進室で、ECビジネス特許プロジェクトマネジャとして、ネットビジネスの全社アイデア募集を実施し、3500件を超える新ビジネス提案を評価し特許出願を行うと共に、自らも社内ベンチャーとしてコンテンツ事業の立ち上げに取り組む。 2007年、株式会社ACCESSに入社し、次世代携帯電話(現スマートフォン)の標準プラットフォーム(OS)を開発し、その知的財産をグローバルにライセンスする事業に参画し、知的財産部長として知財戦略を策定しグローバルでの知財創造・保護とライセンス等のオープン(活用)戦略を実行。その後、自らスマートフォンの近距離通信機能を活用したIOT事業を起業し、事業モデル開発とその特許出願を行った上で、ソフトウェアのライセンスやシステム構築等の事業化に取り組む。 2012年、ナブテスコ株式会社に入社し、会社のグランドビジョン実現に向けて、グローバルでの事業競争力強化と企業価値高揚を図る知財戦略経営体制を構築し、各事業における「コア価値」を「知的財産」と位置づけ、その獲得・強化を的確に実現する知財戦略を策定してナブテスコクループ全体で事業活動の一環として実行している。特に、この知財戦略実行では、知的財産アナリストの能力と経験を活用して、コア価値の「顧客への貢献度」、「競合企業への優位性」、「将来事業への展開力」、「M&A等での経営力強化可能性」等を分析する技術マーケティング(IPランドスケープ)を実行し、経営者や事業責任者に対する知財参謀として、事業戦略やM&A等の提携戦略を提案し、その実行指導を実践してきた。 また2018年からはナブテスコR&Dセンター長も兼任し、Connected Industries時代に向けた機械のIOT化、メカトロニクス化を早期に実現するため、これまで経験してきたシステム監視制御やIT・コンピュータ機器、通信、ソフトウェア技術を活用して、先進的な技術開発とその知財戦略を一体的に活動を推進している。 【これらの活動内容は、「IPジャーナル3号(一般財団法人知的財産研究教育財団2017年12月発行)」をご参照ください。】 一級知的財産管理技能士(特許専門) AIPE認定知的財産アナリスト(特許)第1期修了 一般財団法人知的財産研究教育財団 知的財産管理技能検定 試験委員 一般社団法人企業研究会 知的財産戦略交流会議 幹事 早稲田大学パブリックサービス研究所 招聘研究員 |
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井上 博之 氏![]() |
ナブテスコ株式会社 知的財産部参事 弁理士(特定侵害訴訟代理付記) 1996年、株式会社ナブコ(現ナブテスコ株式会社)に入社し、福祉機器や遠隔監視関連の研究開発に従事。発明者の立場から知的財産業務に携わる。 2003年、知的財産部に希望して異動し、本社研究部門、自動ドア事業、鉄道車両機器事業、福祉機器事業の調査、出願・権利化、契約・渉外業務や、知財情報調査・管理システムの構築・導入に携わる。 2012年以降、菊地部長のもとコンサル型の知財部への意識改革を進め、経営者や事業責任者に対する知財参謀として、「IPランドスケープ」を活用し、自動ドア事業、航空機器事業、鉄道車両機器事業、舶用機器事業、プラットホームドア事業、福祉機器事業等の知財戦略立案指導とその実行を事業部門を指導しながら行っている。 |
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