原田 雅子 さん
所属:化学メーカ 知的財産部 技術情報グループ 資格:シニア知的財産アナリスト(特許)(2016年) 二級知的財産管理技能士(管理業務) 受講講座:知的財産アナリスト認定講座(特許)[第11期](2015年) |
化学、精密機器メーカに入社し、6年間研究開発に携わり、夢の材料といわれるカーボンナノチューブ(CNT)を中心としたカーボン材料の用途開発/評価方法の確立を手がけてきました。当時は、大学の延長線上で学術文献を読むことが多く、特許に関しては公報が読みにくく苦手意識を持っていました。そこで、苦手意識を克服するために知的財産について学ぼうと考え、この業界へ足を踏み入れることとなりました。
実際に知財部の立場に立ってみて、「知財で製品を守ること、事業を守ることの重要性」に気づき、今までとは知財に関する考え方が変わりました。特許出願後、権利としてどう活用されていくかあまり意識していませんでしたが、戦略的に研究開発を行い他社と戦って行くためにはどうすれば良いかを考えるようになりました。
特許情報解析結果が、企業の研究開発戦略や経営戦略に活用されていることを知り、ちょうど興味を持ち始めた頃に、上司から 一般社団法人 情報科学技術協会(INFOSTA)主催の「情報を力にかえるワークショップ」である「3i研究会」に参加する機会を与えていただき、知財アナリストとしての道を歩み始めました。
特許情報解析における仮説・検証の思考プロセスは、「現象には必ず理由がある。」という研究開発と似ている点ですんなりと理解することができました。しかし、得られた解析結果から知財戦略を考える上では、「研究開発からの視点」「知財からの視点」「事業/経営からの視点」が重要となります。
この三者が納得できる結論を導くために、自分に足りない部分は「事業/経営からの視点」であると感じていたため、日頃からコンサルタントとして活躍されている講師陣から直接学ぶことができる本講座が有意義であると考え受講させていただきました。
受講前は、「目の前にある課題をどのように解決すればよいのか」という狭い視点になりがちだったのですが、世の中の動向を把握するために業界全体を俯瞰し、「経営からの視点」を意識した情報を加味して、報告・提案するスキルが身につきました。戦略策定に必要な情報をなるべく多く、メリット/デメリットを含めて論理的に説明できるようになったことは、本講座で学んだ成果であると思います。
また、私は11期の幹事をやらせていただいているのですが、講義後に毎回懇親会を開催していたこともあり、良い同志を得ることができました。今でも11期メンバーで集まると、いつも刺激を受けることができるので、私にとってこれも大きな収穫となりました。
知的財産アナリストの仕事は、欲しい情報を得るために周りの人を巻き込んで知恵を出していくことがとても大事です。各々が知恵を出すことよって、より良いものが出来上がっていくので、私は知恵出しのアイデアとして本講座で学んだことを活かしています。
また、研究開発段階、事業の成熟度によって取るべき知財戦略が変わってきますが、本講座ではビジネスを考えるために必要なフレームワークを基にした様々な解析手法を学ぶことができたので、依頼者が置かれている状況に応じて、どの手法で対応すれば良いのかをいつも考えながら提案しています。実際に報告した結果は、依頼者のひらめき・気づきに繋がっており、地味な解析作業も頑張ってよかったと実感する日々を過ごしています。
研究開発者の熱い思いが詰まった自社製品、事業戦略策定をサポートするために、日々の業務から気づきを得て常にスキルアップし、どのような相談内容でも解決方法を提案できるようになりたいと考えています。依頼者が困った時に相談するメンバーの1人として頭に思い浮かぶ人になれればと思っています。
また、日本全体の知財業界が元気になるような研究活動・情報発信もしていきたいと考えています。第一段階としては、先に述べました3i研究会で「見せる場としての東京オリンピック」と題して、世界に向けて日本がアピールすべき技術、文化を多様な情報を解析して提案することに取り組みました。これからも日本の良い技術を世界にアピールできる機会を作っていければと思っています。
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