2015年度レポート
【公開中】 | 『中小企業における知的財産活用の事例分析』 ~特許を営業ツール、大企業と戦う武器として活用する企業事例~ |
峰 岳広 |
【公開中】 | 『ウェブサイトを活用した知財戦略と経営戦略の連携』 | 杉崎 明夫 |
【公開中】 | 『知的財産活用失敗事例の考察』 | 三宅 康雅 |
【公開予定】 | 『中小企業知的財産活用における経営支援者の役割について』 | 草刈 利彦 |
テーマ1
『中小企業における知的財産活用の事例分析』 ~特許を営業ツール、大企業と戦う武器として活用する企業事例~ |
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概要
本研究は、中小企業が特許をどのように取り扱い、経営に活かしているのかといった視点から調査および分析を行い、特許を中小企業の営業ツールおよび大企業と戦う武器ならしめる知的財産活用のポイントを明らかにすることを目的とする。
そこで、「東商・知財経営百選」(東京商工会議所発行)を参考に中小企業の知的財産活動の特徴を分類分けし、知的財産を戦略的に活用し経営に役立てている中小企業であるフィーサ株式会社および株式会社ウェルシィの2社をモデルケースに、経営・財務・知財の視点からミクロ分析を行った。ここでは、特許を「営業ツール」として捉え積極的に海外へ進出する企業および「特許を大企業と戦う武器」として捉え、M&Aにより大企業の傘下に入り、飛躍的に事業展開する企業の知的財産活用事例について分析する。
事例分析結果より、2社には「対外的なアピール効果を得るために知的財産を活用している点」および「持続的な成長を遂げている点」に共通項が見られた。事例分析結果の詳細については、本論の中で述べている。多くの中小企業が経営課題に掲げている販路拡大を実現するには、まずは対市場、対大企業に対する対外的なアピール効果を得る必要がある。
そのためには自社の知財を掘り起こし、どのように知財をプロモーション活用していくのかを今一度検討することが重要であると考える。日々の知財活動に取り組んでいる、もしくはこれから取り組みを検討しようとしている中小企業にとって本稿が少しでも参考になれば幸甚である。
筆者
峰 岳広(みね たけひろ)
デロイトトーマツファイナンシャルアドバイザリー合同会社 知的財産グループ シニアアナリスト
一級知的財産管理技能士(特許専門業務)
AIPE認定知的財産アナリスト
一般社団法人知的財産教育協会 中小企業センター研究ワーキンググループ委員
早稲田大学大学院理工学研究科機械工学専攻博士前期課程修了
大手タイヤメーカー研究開発部、大手ゲームメーカー知的財産部にて特許出願権利化業務、訴訟対応業務、知財戦略立案業務に従事後、経営企画部を経て現職。
主に大手製造業、ベンチャー・中小企業向けの知財コンサルティングを専門とする。特許情報分析による企業の事業戦略立案やM&Aにおける知財デューディリジェンス、ビジネスデューディリジェンスに携わる。
テーマ2
『ウェブサイトを活用した知財戦略と経営戦略の連携』 |
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概要
中小企業診断士として多くの中小企業の経営状況を見てきたが、常に感じるのは、コストパフォーマンスの高い媒体であるWEBの活用度が非常に低いことである。また、横浜市の中小企業向けの知的財産活用制度において、知的財産権を保有している中小企業について10社以上の診断を行った。その結果、他の中小企業と同様に多くの中小企業において単なる会社案内やカタログ掲載型のWEBサイトであり、WEBマーケティングの基本的な対策が講じられていない「もったいない」使い方であった。
このような経験から、本研究では、まず特許などの知的財産権を取得し高度な技術を持っていても、WEBサイトの施策が悪いために販路開拓などでビジネスチャンスを逸しているかどうかの仮説検証を行った。次に、多角的な面から課題を抽出し、そこから潜在的見込客(リード顧客)からアクセスが増えるようなWEBサイトの基本的対策を提言した。 具体的には、特許庁発行の「知的財産活用企業事例集2014」を利用して、知的財産権を有効に活用している中小企業139社のWEBサイトを全て閲覧してどの様な使われ方をしているか分析した。つぎにWEBサイトの課題を明らかにするために、大手企業などの買い手の購買行動を各種報告書から抽出し、またWEBマーケティングで基本的に対応すべき課題を検索サイトのGoogleのガイドなどで明らかにした。それらを反映した5つの評価軸からなる評価シートと多角的な評価が出来るようレーダーチャート図も作成した。上位グループから下位グループまでの代表的な企業14社を筆者が任意で選択して、評価軸のパターンごとに課題を明らかにして、その対応策を提言した。
その結果、知的財産権に関する情報発信は、特許庁の事例集に掲載されるだけあって多くの中小企業は良い評価となった。しかし、マーケティングデータを有効に収集できるWEB解析の導入や見込客を顧客として転換させるオファー戦略などのWEBマーケティングについて評価が低かった。それらの課題に対しては、主にWEBマーケティングに関する基本的な対策を重点に提言を行っている。
本研究は、知的財産戦略についてはあまり記述していないが、中小企業の多くが掲げる「営業力・販売力の強化」という経営課題の一助となるように提言した。WEBサイトの基本的な対策を講じることにより、買い手からのアクセスや問い合わせ増加など、なんらかの成果につながれば幸いである。
筆者
杉﨑 明夫(すぎざき あきお)
スギ・コンサルティング代表
経済産業大臣登録 中小企業診断士
財務局長・経済産業局長認定 経営革新等支援機関
二級知的財産技能管理士
AIPE認定知的財産アナリスト
一般社団法人知的財産教育協会 中小企業センター研究ワーキンググループ委員
某総合電機メーカーの広告宣伝・印刷会社で企画営業を経験し、その後独立して現在に至る。
中小企業の経営診断(約50社以上実施)、再生のための事業DD,財務DD等を実施して経営改善計画の策定、モノづくり補助金等の申請支援(実績6件採択)、横浜市の中小企業向け知財制度の評価・コンサル活動などに携わる。
テーマ3
『知的財産活用失敗事例の考察』 |
本文を読む |
概要
中小企業における知財活用の成功事例は数多く紹介されている。しかし、成功の前提となる状況は千差万別であり、単に倣っても成功が期待できるわけではない。一方、“何かをした/しなかった故に失敗した”などの事例は、多くの企業に当てはまり、同じように失敗すると考えられる。そこで、本研究では、知財活用の失敗事例を収集し、いくつかの類型に分類して、それぞれの類型の特徴を明示することにより、中小企業の「転ばぬ先の杖」となる情報を提供することを目的とする。
筆者
三宅 康雅(みやけ やすまさ)
前田特許事務所 弁理士
一般社団法人知的財産教育協会 中小企業センター研究ワーキンググループ委員
テーマ4
『中小企業の知的財産活用における経営支援者の役割について』 |
公開準備中 |
概要
本研究では、特許庁による「ココがポイント! 知財戦略コンサルティング」、中小企業・地域知財支援研究会報告書をもとに、経営支援者の役割を考え、中小企業における知的財産経営の裾野拡大の一助となることを目的とする。
筆者
草刈 利彦(くさかり としひこ)
KCGコンサルティング株式会社
一般社団法人知的財産教育協会 中小企業センター研究ワーキンググループ委員
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